つれづれ猫日記

帰ってきたごんぎつね

a0085246_2102863.jpg久しぶりにふるさと半田の新美南吉記念館へ。

ごぞんじ『ごんぎつね』の作者。
実は、高校の大先輩(旧制中学ですけどね)にもあたるため、南吉への思いはちょっと特別なものがある。

今回の目的は「知多半島におけるキツネの生態と民俗」の公演を聴くため。
講師を務められる相地 満先生は、以前、『てれび博物館』という自然科学番組を担当していたおり、大変お世話になった方だ。知多半島の里山のお話を取材させていただいていた10数年前、もはや知多半島にいなくなったといわれていたホンドギツネの目撃が飛び込んでき、非常に興奮したことを今も鮮明に覚えている。そのため、今回、「帰ってきたごんぎつね」についてオハナシをされるときき、早速かけつけたというわけ。

『ごんぎつね』はもちろん『手袋を買いに』『狐』など、南吉の作品にはキツネがよく登場することは知られているとおり。以前は、「自然の豊かな里山の風景の中、それに親しんだ南吉があたりまえのようにキツネをモチーフに選んだ」のだと、単純に思っていた。ところが、どれもが自然観察者としての南吉の確かな生態観察に裏打ちされた物語だったということを知り、感動ひとしお。


a0085246_2105881.jpg例えば『手ぶくろを買いに』。
冬をむかえ、手が冷たいと訴える子ギツネに、母ギツネがお金を渡して人間の町で手袋を買ってくるようにいう物語。「人間にひどい目にあったことがある母ギツネがどうして子供をひとりで人間の町へ使いにやるのか!」とつっこむ読み手があるとか。しかし、これも、本来ならこの季節には、すでに子ギツネは巣穴からでて独立しているはずなのだという。それにもかかわらず、母と一緒にいるのである。母は厳しい子離れの訓練をしているのだととらえられなくはないか? 百歩譲って南吉がそこまで思いを込めてはいないにしろ、冬に親子のキツネが巣穴で生活することが「常ではない」ということを彼がちゃんと知っているからこそこういう物語を紡げるのだ。ゴンぎつねがひとりで暮らしているのも、もちろん南吉の観察眼のなせる設定と考えられる。

単に情に訴えるだけでなく、しずかに、ゆたかな生き物の営みをみつめていた南吉だからこその物語。
他にも蛍、彼岸花、でんでんむし、蝶などなど実に多様な生き物がいきいきと描写されている。「ルナールまがひ」と称された一連の詩の数々も彼の命にむける瞳のやさしさとユーモアがストレートに伝わってくる。29年の生涯、死と向き合う晩年の日々には、ますますその瞳はさえわたっていく。こんなに多くの詩も残しているとは、恥ずかしながら知らなかった。

そんな優れた自然観察者・新美南吉の顔を、覗くことができる展覧会も開催されている。

「帰ってきたごんぎつね」 ~知多の自然と南吉文学~  11月3日まで

          新美南吉記念館 0569-26-4888


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この土手をごんも走った…かも?
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by buchi128 | 2010-09-12 23:38
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今日も道端で出あった気になる猫と、きままなおしゃべり
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